エンジニアからみるマネジメント基礎 - 第7回 管理者の自己啓発
では前回に引き続き、以下の全7回のうちの第7回目、最終回になります。
- 管理の基礎
- 仕事の管理
- 改善と問題解決
- 人間行動の理解
- 部下の育成
- よい職場つくり
- 管理者の自己啓発 ← 今回はここ
第7回 管理者の自己啓発
管理者は多くの責任を抱えながら、上司と部下の板挟みにあったり、関連部署との調製に苦労したりする。しかし、これらの苦労こそ管理者自身が成長していくための糧である。
己を知る
自己啓発の第一歩は自己の現状について分析することである。いろいろなチェックリストが考案されているので、参考にされたい。
例えば
- 人の話を傾聴し、理解できているか
- 人の感情や欲求を感じ取っているか
- 自分の行動とその目的を自覚しているか
- 人の好意を気持ちよく受け入れているか
- 他人からの批判を進んで受け入れているか
- 敵意から逃げずに直視できているか
- 他人に対する影響力をもっているか
たとえば以上を5段階評価にして定期的に評価してみてもいいだろう。
自我像と防衛
自己評価では自分は「非常によい」つもりでも、部下や同僚など他人からみるとそうみえないというズレが発生します。特に自分の行動や性格に関してはこうした傾向が強い。人は他人の目に映っている自分の姿を認めようとしないものである。そもそも人間にはこのよな自己防衛的なメカニズムが働くので、どうしても自我像には盲点ができてゆがみやすい。これが人間の成長を妨げているのである。
心の4つの窓
自己防衛的になるのを防ぎ成長するために、ジョハリの窓と呼ばれる考え方がある。これによると人間の心には4つの領域があるという。
- 1. 開かれた窓
自分で今自分をどう思っているかわかっており、それを表明しているので、この部分ではオープンに振る舞える
- 2. 隠された窓
自分はわかっているが押し隠しているので、行動が不自然になる領域である
- 3. 気づかない窓
他人からは丸見えだが、本人だけが気づいていないので、他人との間にズレや軋轢が生じやすい部分
- 4. 未知の窓
自分にも他人にもわからない無意識の領域であるがゆえに、未知の可能性を秘めており、成長の源泉ともいうべき領域である
「開かれた窓」を大きくし、「未知の窓」を小さくすることが自己洞察であり、成長である。
啓発目標と設定
以上のように他人からの援助も含めて自己分析ができたなら、将来の目指す方向について目標を設定する。部下にやることと同じである。
マネジメントも部下の意欲づけも、そして自己啓発も永遠に続く努力の過程なのである。
エンジニアマネージャーとして
エンジニアのマネージャーとなるからには、技術力はあると思います。一方でマネジメントもまた技術力を上げるのと同じように、勉強して努力して身につけるものです。1つの言語を身につけるよりかは覚えることは少ないと思いますので、まずは基礎を勉強して後はそれをプログラミング(実践)すれば自然と身についていくと思います。長々と全7回に渡って、マネジメントの基礎を見てきました。私自身もマネジメント基礎という研修を経て、「目からウロコ」というよりは、日々考えてきたりぶつかってきたり、記事でみたりなど、漠然と体験していたことが整理された感覚になりました。少しでもエンジニアでマネジメントに悩んでいる方の一助となれば幸いです。
以上、第7回 管理者の自己啓発でした。