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人事評価で考慮すべき評価エラー10選

人を評価する際には評価エラー(心理的バイアス / 認知バイアス)がかかるものです。しかし、人事評価とは事実に基づいて評価する必要があります。
ここでは著名な評価エラーを10個列挙しますので、評価時に参考にされてください。


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1. ハロー効果 / ホーン効果


評価対象者の全体的な印象、あるいはなにか一つの印象から、他の項目も同じように評価してしまう心理バイアスです。

  • なにかがよいと思うと、印象・イメージですべてよいと考えてしまう。
  • なにかが悪いと思うと、印象・イメージですべて悪いと考えてしまう。

よいと考えてしまうことをハロー効果といい、悪いと考えてしまうことをホーン効果といいます。

2. 中心化傾向


大部分の評価が「普通」「標準」といった評価に偏り、優劣をつけることを避けてしまった結果起こります。
5段階評価で各項目を評価した結果、ほとんど項目が3となってしまうことです。

3. 寛大化 / 厳格化傾向


評価対象者や評価項目によらず、全体的に評価が甘くなる、あるいは厳しくなる傾向のことをいいます

4. 論理誤差


評価項目間に密接な関係があると自分のなかで論理づけし、関係ありそうな項目を同じように評価してしまう。
例えば、「コミュニケーション能力」が高い人は「プレゼンテーション能力」も高いと解釈してしまう。

5. 対比誤差


自分の能力と比較して、自分の得意分野には厳しく、苦手分野には甘く評価してしまうことです。
例えば、自分が対人営業が得意だけど、事務処理は苦手な場合に、事務処理ができる人を過剰に高く評価してしまう。

6. 親近効果


自分と近い立場の人や共通点がある人などに、親近感を覚え評価が甘くなってしまうことです。

7. 近時点誤差


直近の出来事を過大に評価してしまうことです。
半期評価だとしても、期初の出来事を忘れて、期末の出来事を重視して評価してしまうことです。

8. アンカリング・エラー


部下に自己評価を記入させる場合、部下のつけた評価結果がアンカーとなり、適切な評価ができなくなってしまうことです。
部下が自己評価で5段階中の5を付けてきた場合には、それを3に変更しずらいなどが起こります。

9. パスト・アンカリング・エラー


評価対象期間の成果ではなく、それよりも前の評価結果に基づいて評価すること。
例えば2期前に素晴らしい成果を収めたから、今期も高い評価を付けてしまうことなどです。

10. 逆算化傾向


評価結果としての処遇(昇給・昇格など)から逆算して評価をつけることです。
例えば、そろそろ昇格させようと思って、高く評価してしまうことがあります。


以上